アメリカの相続における税務・手続きについて記載するブログ

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アメリカの相続における課税財産評価と基準日について

質問:

アメリカにおいて遺産税や贈与税を計算する時、まずはその財産がどれくらいの価値があるかを算定しなければなりません。また、どの時点において評価するか基準日を決めなければなりません。その両者について教えてください。

 

 

ポイント:

遺産税や贈与税で税金を計算する時、まずはその財産がどれだけの価値があるかを「公正市場価値」という基準で評価します。これは、その財産を公平な市場で売った場合にいくらになるか、という価格のことです。

税金を計算するための「基準日」は、基本的にはその財産を相続した日や贈与を受けた日です。つまり、その日の公正市場価値をもとに税金が計算されます。しかしながら、遺産税の場合はちょっと特別で、相続が発生した後にその財産の価値が下がったときには、救済措置があって、特別なルールで評価することができます。

解説:

(1)アメリカの相続における財産の評価方法

財産の価値を決める時、遺産税や贈与税で使う基準は「公正市場価値」と呼ばれます。具体的には、「買手と売手の間で,売買の強制がなく,両者が売買に関する合理的な知識を有する場合における財産の売買価格」を指します。

この評価は、大体の場合、専門家によって行われますが、特定の財産については、以下の様に、あらかじめ定められた方法で評価することが決まっています。

不動産:売買実例比較法,収益還元法,原価法等のうち,その不動産に最も適した方法により評価した金額

上場株式:評価基準日の最高値と鰻低値の仲値

非上場株式:①会社の純資産,予想収鑑力,配当支払能力等の要素と②類似する事業を行う上場企業の株式価値を総合勘案して評価した金額

 

(2)財産の評価基準日

遺産税や贈与税を計算する時、税金の対象になる財産の価値は、基本的にはその人が亡くなった日や贈り物をした日を「基準日」として評価します。けれども、遺産税に関しては、もし亡くなった後に財産の価値が大きく下がった場合、少し助けになるルールがあって、財産の評価を「代替的評価基準日」にすることができます。この代替日は、相続が始まってから6ヶ月以内に財産を分けたり売ったりした日、もしくは何もしなかった場合は相続が始まってから6ヶ月後の日です。

この代替的な評価方法を使えるのは、この方法を使った方が遺産の総額や税金が少なくなる場合だけです。そして、この方法を選んだら、すべての財産に対して適用しなくてはなりません。つまり、一部の財産だけこの方法で評価して税金を計算する、という都合の良いことはできません。