アメリカの相続における税務・手続きについて記載するブログ

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アメリカの相続における有効な遺言の要件

Q:アメリカにおける有効な遺言の要件を教えてください。

A:今回はアメリカにおける有効な遺言について、易しい内容でご説明します。アメリカで遺言を作成することは、将来の不確実性に備え、大切な財産を望む人々に確実に引き継がせるための重要なステップです。では、アメリカで有効な遺言とはどのようなものでしょうか?

ポイント

  1. 有効な遺言の要件は、各州によって異なるが、一般的には成人であること、精神的な能力があること、そして遺言が自分のものであるという意思表示が必要です。
  2. 遺言の作成方法には、自筆による遺言、パソコンなどで作成した遺言、そして法廷遺言(Statutory Wills)があります。
  3. その他にも、共同遺言および遺言作成契約、死亡選択遺言(Living Wills)などの形式があります。

概要

アメリカ合衆国では、個人の意志に基づいて財産の分配を決定するために遺言が用いられます。有効な遺言を作成することで、遺された家族が円滑に財産を受け継げるようになります。しかし、その遺言が法的に有効であるためには、特定の要件を満たす必要があります。

(1)有効な遺言の要件

アメリカで遺言が有効とされるためには、以下の基本的な要件を満たす必要があります。
- 作成者の年齢と精神状態:遺言を作成する人は、ほとんどの州で18歳以上である必要があり、精神的に遺言の意味とその影響を理解できる状態にあることが求められます。
- **文書による遺言**:遺言は文書でなければなりません。口頭での遺言は、特別な状況を除き、通常は有効とは認められません。
- **署名と証人**:遺言作成者本人による署名が必要です。また、ほとんどの州では、2人以上の証人が遺言作成者が署名するのを目撃し、それに対して自らも署名することが求められます。

### (2)遺言の作成方法
遺言を作成する方法にはいくつかの種類があります。
#### ①自筆による遺言
遺言を自分で手書きする方法です。全ての要素を自筆で記入し、署名する必要があります。ただし、すべての州で認められているわけではありません。
#### ②パソコンなどで作成した遺言
パソコンを使って遺言を作成し、印刷後に署名する方法です。この場合も、証人の署名が必要となることが多いです。
#### ③法廷遺言(Statutory Wills)
法律で定められた形式に従って作成される遺言です。テンプレートを用いて、必要事項を記入することで作成します。

### (3)その他の遺言
#### ①共同遺言および遺言作成契約(Joint Wills and Contracts to Make a Will)
夫婦などが一緒に一つの遺言を作成することがありますが、これは共同遺言と呼ばれます。また、将来の遺言を作成することを約束する契約を結ぶこともあります。
#### ②死亡選択遺言(Living Wills)
これは、本人が末期状態や回復不能な状態にある際の医療処置に関する希望を記した文書です。遺言とは異なり、財産の分配ではなく、医療に関する意志表示を目的としています。